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こども救急箱

食べる力を育む

 お子さんは楽しく食事をしていますか。食べるのを嫌ったり、上手に食べられずに困っていませんか。食べたり、飲みこんだりするのは何気ないことのようですが、上手に食べられるようになることは、順調に発育している証しです。

 生まれてすぐの赤ちゃんは、誰に教わるでもなく母乳を吸います。これは反射の一つで、お母さんのおなかにいるころから備わる本能です。一方、食べることは本能でなく、成長に従って段階的に学習していきます。

 食べたり、飲みこんだりする動きは、唇や前歯で食べ物を取りこむ捕食(ほしょく)、奥歯で食べ物をすりつぶす咀嚼(そしゃく)、舌や口蓋(こうがい)を通してのどや食道に運びこむ嚥下(えんげ)に分けられます。これらが協調して初めて、上手に食べることができます。

 赤ちゃんは生後6か月過ぎから、おかゆのようなドロドロしたものを食べ始めます。前歯が生えそろう1歳半ごろには離乳が完了し、20本の乳歯が全て生える3歳ごろには、大人とほぼ同じものが食べられるようになります。

 口から食べ物がこぼれる、丸のみする、むせやすいなど、上手に食べられない原因として①あごや歯の形の異常②おもちゃをなめたり手づかみ食べなど感じながら体を動かす体験の不足③神経や筋肉の病気④知的障害⑤脳性まひなど体の不自由⑥心理的原因―などが挙げられます。うまく食べられない状況が続くと、栄養不良や肥満、肺炎を起こしやすくなります。

 改善には、食べ物の硬さ、食事のときの姿勢を考えた検査や訓練が必要な場合があり、歯科医師、医師、言語聴覚士、保護者らが協力して支援します。食卓は親子や家族のコミュニケーションを通じ愛情をはぐくむ場で、楽しい雰囲気作りが大切です。食べ方で悩んだら、子ども専門の歯医者さんに相談してみるといいでしょう。
佐藤秀夫(鹿児島大学病院小児歯科)

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